
RISE with SAPは、企業がすべてを自分で組み合わせなくてもS/4HANA Cloudへ移行できるようにするための、SAPの仕組みです。単なるライセンスやクラウドのサブスクリプションではなく、バンドルされたサービスです。ソフトウェア、インフラ、自動化とプロセス改善のためのツール、そして継続的なサポートまでが含まれ、すべてが1つの契約のもとでSAPによって管理されます。
狙いは、デジタルトランスフォーメーションをより体系的にし、ばらつきを減らすことです。特に、刷新を進めたいが、そのために10社ものベンダーを管理したくはない中堅から大企業に向いています。
スタック全体を自社で所有し運用する従来のオンプレミス導入と違い、RISEではその責任の多くをSAPが引き受けます。重要な判断は引き続き自社で下しますが、技術面の重い作業はSAPが担います。これは、従来とは違う種類のパートナーシップです。焦点が「SAPを動かすこと」だけから、事業の進め方を時間をかけて進化させることへと移ります。
RISE with SAPが最も向いているのは、ERPスタック全体を自社で管理せずに刷新したい企業です。標準化に向かう準備ができていながら、導入形態や拡張性の柔軟性も必要な企業のために設計されています。
技術的にはさまざまな規模の企業に対応できますが、特に、より複雑なニーズを持つ企業にとって実用的です。向いている企業によく見られる特徴は次のとおりです。
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複数の国で事業を展開する、中堅から大規模の企業
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大幅にカスタマイズされた従来のERPシステムを置き換える企業
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社内にクラウドインフラの専門知識が不足している組織
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明確な目標を掲げてデジタルトランスフォーメーションに取り組む企業
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SAPのベストプラクティスとFit-to-Standardのプロセスを受け入れる姿勢のあるチーム
万能の解ではありませんが、方向性がはっきりしていれば、RISEは道のりを簡単にしてくれます。
RISE with SAPは、構造が必要なところには構造を、柔軟性が今も重要なところには柔軟性を与えてくれます。S/4HANA Cloudの裏側にある技術的な運用はSAPが担いますが、環境をどこでホスティングするかは自分で選べます。その選択は、技術だけに影響するものではありません。システムの統合のしかた、誰が何を管理するか、構成が時間とともにどう進化するかを左右します。
1. AWS、Azure、Google Cloud上のRISE with SAP
最も一般的なのは、ハイパースケーラー上でRISEを動かす道です。SAPはAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)に対応しています。いずれもS/4HANAの認定を受けており、すべてがSAPのクラウドロードマップに深く組み込まれています。IT部門がすでにこれらのプロバイダーのいずれかを使っているなら、同じものを使い続けると、運用とセキュリティポリシーを管理しやすくなります。
パフォーマンスは、どれも高水準です。ただし、Microsoftとの互換性を重視してAzureに傾く企業もあれば、グローバルなカバレッジを理由にAWSを選ぶ企業もあります。データと分析が優先事項のときは、GCPが候補に挙がることもあります。
2. SAPのデータセンター
中立性やシンプルさを優先するなら、SAP自身のデータセンターも選択肢です。ハイパースケーラーを挟まず、すべてSAPが管理します。関与する当事者を減らしたいときや、調達部門が直接の契約を好むときに役立ちます。
3. カスタマーデータセンター(CDC)
これは珍しいケースですが、今も選べます。データ管理に厳格なルールがある企業や、規制の厳しい環境で事業を行う企業の場合、SAPは自社のインフラの中でRISEを運用します。SAPが管理することに変わりはありませんが、物理的には自社側にあります。万人向けではなく、正直なところ、ほとんどの企業には必要ありません。
選ぶ前に考えておくこと
ホスティング先がどこであっても、システムの保守、アップグレード、バックアップ、パフォーマンス監視はSAPが担います。
どの環境を選ぶかに影響する要素がいくつかあります。
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既存のクラウドベンダーとの関係
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レイテンシーと、地域ごとのパフォーマンス要件
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社内のクラウド成熟度と、統合の戦略
どこで動かしても、RISEであることに変わりはありません。ただ、ホスティングの判断は、最初に思うより大きな役割を果たします。
企業がRISE with SAPを初めて検討するとき、目が向きがちなのはS/4HANA Cloudそのものです。何ができるのか、何を置き換えるのか。しかし、どこで動かし、どう管理するかのほうが、多くの人が思う以上に大きな違いを生みます。RISEの裏にある導入モデルは、単なる技術的な選択ではありません。どこまで主導権を保てるか、チームがSAPとどう関わるか、さらには、将来変化にどれだけ素早く対応できるかにまで影響します。
AWS、Azure、Google Cloud、SAP自身のデータセンターのどこでホスティングするにしても、土台は重要です。シンプルに保ちたい企業もあれば、既存のクラウド投資に合わせる必要がある企業もあります。選択の余地がほとんどない企業もあります。データプライバシー法や業界固有のルールに縛られているからです。
だからこそ、選ぶ前に一度立ち止まる価値があります。メリットは本物になりえますが、その表れ方は、現在の体制と、次にどこへ進みたいかによって変わります。
1. インフラに関する判断の簡素化
クラウドプロバイダーは、SAP、AWS、Azure、GCPから選べます。ただし選んだ後は、残りをSAPが担います。プロビジョニング、パッチ、バックアップ、スケーリングが含まれます。
- ハイパースケーラーとの個別契約は不要
- 責任の窓口はSAPに一本化される
- ITとベンダーの間のやり取りが減る
2. 標準化された導入と、柔軟なホスティング
ハイパースケーラーを使う場合でも、SAPのデータセンターを使う場合でも、運用モデルは一貫しています。つまり、展開フェーズでの不確定要素が減ります。
- プラットフォームを問わず、同じサポートプロセス
- チーム間の引き継ぎが予測しやすい
- 必要なら、後から拡張や移行ができる余地がある
3. 社内戦略との整合性の向上
すでにAWSやAzureでワークロードを動かしていますか。そこでRISEをホスティングすれば、複雑さを抑え、IT部門が既存の知識を活かせます。
- セキュリティとポリシーが一貫する
- 管理すべき新しいプラットフォームが減る
- SAP以外のシステムと連携しやすい
4. 移行時のリスクの低減
RISEには、ECCや従来のシステムからの移行の負担を和らげるツールとサービスが付いてきます。ハイパースケーラーの信頼性と組み合わせると、特に効果的です。
- 自動チェックと準備状況のツール
- プロビジョニングとスケーリングはSAPが担当
- 初日から組み込まれた監視
5. CDCオプションによる規制対応の柔軟性
業界にデータの取り扱いに関する厳格なルールがある場合、RISEは自社のデータセンターの中で動かせます。ニッチですが、企業によっては欠かせません。
- SAPのサポートを失わずに、社内でのホスティングを維持できる
- データ主権やデータレジデンシーの義務に対応できる
- パブリッククラウドと同じ運用モデル
6. 契約は1つ、想定外は少なく
ライセンス、ホスティング、サービスをやりくりする代わりに、すべてがバンドルされています。取引先はSAPだけです。計画と予算編成が簡単になります。
- 固定のサブスクリプションモデル
- 技術サポートとSLAが組み込み済み
- 範囲とコストが明確に見える
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RISE with SAPは、S/4HANAへの道のりを簡単にし、複数のベンダーを調整する煩わしさを減らすために選び抜かれたバンドルです。ライセンス、インフラ、ツールを別々に購入する代わりに、すべてを1つの契約のもとで入手し、SAPが管理します(素晴らしいと思いませんか)。
RISE with SAPのバンドルに通常含まれるものは次のとおりです。
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SAP S/4HANA Cloud(パブリックエディションまたはプライベートエディション)
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SAP Business Technology Platform(BTP)と利用クレジット
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プロセスのモデリングとパフォーマンスの知見のためのSAP Signavio
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SAP Business Networkへのスターターアクセス(パートナーとつながるため)
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SAP、AWS、Azure、Google Cloudによるクラウドインフラ
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技術的な移行ツールとライフサイクル管理は、SAPがすべて担います。
体系的ではありますが、硬直的ではありません。範囲、ペース、ホスティングパートナーは、引き続き自分で決められます。RISEが提供するのは、実際に一貫して機能するフレームワークです。単なるシステムの置き換えではなく、変革が目的である場合は特にそうです。
RISE with SAPは分かりやすく聞こえますが、それが自社にとって適切なモデルかどうかを判断するには、コンセプトが気に入るだけでは足りません。サブスクリプションには多くのものが含まれる一方、カスタマイズできる範囲は限られます。飛び込む前に、いったん立ち止まって、いくつか厳しい問いを投げかける価値があります。
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何を直し、簡素化し、将来に備えようとしているのか
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現在のシステムとカスタマイズは、どのくらい複雑か
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チームは、より標準化されたSAP管理の環境で運用する準備ができているか
RISEは、事業が変革に向けてそろっているときにうまく機能します。その点がまだ曖昧だったり、社内のスキルが手薄だったりすると、想定以上の準備が必要になるかもしれません。
1. 事業の準備状況
RISE with SAPは、システムのアップグレードにとどまりません。体系的な変化をもたらします。組織には、目的、スケジュール、関係者間の合意についての明確さが求められます。
- 経営層の賛同が不可欠
- 明確な目標と優先順位
- 変化の影響が、明確に伝わっていること
2. 社内チームの対応力
運用はSAPが担いますが、設定、統合、定着は社内チームが支える必要があります。チームの準備状況は、プロセスの早い段階で評価してください。
- スキルのレベルと稼働の余裕を評価する
- プロジェクト全体でITの作業負荷を見直す
- 不足があれば、外部の支援を計画する
3. 標準化とカスタマイズ
RISEは、Fit-to-Standardのプロセスを促します。既存のシステムが大規模なカスタマイズに依存している場合は、調整が必要になります。
- 譲れないカスタムコードを洗い出す
- SAP Signavioでギャップを確認する
- 合わない領域は設計し直す
4. クラウド戦略との適合
RISEは、クラウドの方向性がすでに明確なときに最も効果を発揮します。セキュリティ、統合、ホスティングの戦略が定まっている企業とよくかみ合います。
- エンタープライズアーキテクチャとの整合を確認する
- ハイパースケーラーに関する方針とポリシーを見直す
- SAPと社内ITの間の責任分担を定める
5. 財務モデル
RISEはサブスクリプション型のモデルです。財務部門と調達部門は、それが求める運用経費として支出するという考え方に適応する必要があります。
- 複数年にわたるコストを見通す
- 既存のライセンス体系と比較する
- 何がバンドルされ、何がされていないかを明確にする
6. タイミングと集中
大規模な変革プロジェクトには、経営層の注力と、事業側の稼働の余裕が必要です。今が踏み出す適切な時期かどうかを考えてください。
- 進行中および今後の取り組みを評価する
- エグゼクティブスポンサーを割り当てる
- トレーニングと変革に充てる余力を確保する
RISE with SAPの契約は、S/4HANAのライセンス以上のものです。クラウドERPへの道のりを簡単にするためのバンドルパッケージです。すべてが1つのサブスクリプションにまとめられており、紙の上では分かりやすく聞こえますが、実際に何が含まれ、何を引き続き自分で担うのかを知っておく価値があります。契約が対象とするのは、インフラ、ERPソフトウェア、サポートサービス、そして変革を推進するためのいくつかのツールです。
とはいえ、プロジェクトガバナンス、トレーニング、テストなどには、自社のリソースが引き続き必要です。契約に通常付いてくるものは次のとおりです。
1. S/4HANA Cloudライセンス
契約には、フルユーザー相当(FUE)に基づいてライセンスされるS/4HANA Cloud(パブリックエディションまたはプライベートエディション)へのアクセスが含まれます。
- コアERPモジュール
- 定期的なアップデートを含む
- サブスクリプション方式
2. クラウドインフラ
ERPは、ハイパースケーラーのインフラ(AWS、Azure、GCP、またはSAPのデータセンター)上で動き、その費用はサブスクリプションに含まれます。
- フルマネージドのIaaSレイヤー
- 地域とプロバイダーの選択肢
- セキュリティと監視は対応済み
3. 技術運用
バックアップ、システムパッチ、監視といった主要な技術作業は、マネージドサービスモデルの一部としてSAPが担います。
- Basis管理
- 災害復旧の構成
- 24x7のシステム可用性サポート
4. SAP Business Technology Platform
契約には、SAP BTPのクレジットが付いています。拡張、統合、分析に使えます。
- ユースケースには、独自アプリが含まれる
- CPIなどの統合サービス
- イベント駆動型の自動化
5. SAP Signavio
プロセスの知見は、バンドルの一部です。Signavioのツールは、現状と目指す姿のモデル化と最適化を助けます。
- プロセスの発見とモデリング
- ギャップ分析ツール
- Fit-to-Standardの支援
6. SAP Business Networkへのアクセス
SAP Business Networkへの限定的なアクセスが含まれ、サプライヤーとの協業と基本的な調達機能を利用できます。
- サプライヤーのオンボーディング
- 基本的な調達ワークフロー
- 必要に応じてアップグレード可能
体系的で、しかも柔軟なフレームワーク
RISE with SAPは、SAP Activate方法論を土台にしています。この名前は何度も目にするでしょう。段階的でガイドされたアプローチで、S/4HANA Cloudへの道筋を示します。この構造は役に立ちますが、過度に硬直的ではありません。軌道を外れずに進みながら、作り込みすぎて身動きが取れなくなるのを避けるためのものです。
Fit-to-Standard:出発点
プロセスは、Fit-to-Standardワークショップに大きく依存します。現在の仕事のやり方が、SAPのベストプラクティスのどこに合うかを探るためのものです。きれいに対応する領域もあれば、議論を呼ぶ領域もあります。標準化とカスタマイズに関する早期の判断は、そこで、事業部門とITの両方の意見を踏まえて下す必要があります。
デリバリーモデル:パートナー、SAP、または両方
デリバリーは、パートナー主導、SAP主導、またはその共同モデルがあります。ここに万能の正解はありません。社内チームの経験、稼働の余裕、主体的に担う意欲によって変わります。外部の支援を受けていても、社内の誰かが舵を取る必要があります。
スケジュールと主要なステージ
ほとんどのRISEプロジェクトには6〜12か月かかります。主要なフェーズは次のとおりです。
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Discover:目標とハイレベルなスコープを定義する
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Prepare:チーム、アクセス権、スケジュールを整える
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Explore:Fit-to-Standardワークショップを実施する
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Realize:設定、テスト、統合を行う
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Deploy:カットオーバーを計画し、本稼働させる
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Run:サポートし、進化させる
技術的なデリバリーだけではない
システムの構築と並行して、トレーニング、変革への備え、継続的なサポートも見込む必要があります。これらは付け足しではありません。プログラムに欠かせない要素です。ここへの注力が足りないと、後で定着が遅れます。
本当の変数:社内の足並み
このフレームワークは機能しますが、それは事業部門とITチームの足並みがそろっている場合に限ります。意思決定をどう行うかを、最初に時間をかけて明確にしておく価値があります。その共通の理解がないまま設定に急ぐと、後で停滞を招くことがよくあります。
SAPとデジタルトランスフォーメーションに25年携わり、キックオフから本稼働までのプロジェクトと、誰も語りたがらない混乱の中盤を見てきました。最初から私が主導することもあります。うまくいかなくなったときに、立て直しのために呼ばれることもあります。
どちらの場合も、私の役割は同じです。事業が本当に必要としているものと、システムが実際に提供できるものをつなぐことです。専門用語も、中身のない言葉もありません。ここにあるものは、現場で長年、現実のプレッシャーの下で現実の問題を解いてきた経験から生まれています。
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RISE with SAPは、ERPプロジェクトの技術的な部分の多くを簡素にします。しかし、難しい部分がなくなるわけではありません。むしろ、本当の課題の一部は上流へ、つまり意思決定、責任の所在、考え方へと移ります。いくつかの間違いが、何度も繰り返し現れます。オンプレミスのシステムの思い込みを引きずること。カスタムコードがそのままついてくるだろうと考えること。そして、社内で誰が何を担うのかについて、チームがはっきりした認識を持っていないことも、ときにあります。
次のようなときは、物事がより円滑に進みます。
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プロセスオーナーを、後からではなく早い段階で巻き込む
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データと統合を、クリティカルパスとして扱う
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人々が変化を実際に消化できるように、成果物を段階に分ける
以下は、最も摩擦を生みやすい6つの落とし穴です。
1. オンプレミスの発想
チームはときに、クラウドが以前の社内プロセスをそのまま映すものと期待します。クラウドERPでは、役割と責任について新しい前提が求められます。
- 意思決定の構造を見直す
- クラウドに固有の役割を明確に定義する
2. コードの移植性の過大評価
カスタマイズが、そのままきれいに移せることはめったにありません。多くは、設計のやり直しか、拡張のためのSAP BTPへの移行が必要です。
- 既存のカスタムコードを棚卸しする
- 刷新または廃止を計画する
3. 社内の責任体制の弱さ
導入パートナーが構築を導きますが、定着は社内チームが舵を取らなければなりません。責任者が明確でないと、プロジェクトは方向を見失います。
- 専任のプロジェクトリードを任命する
- 関係者が関与し続けるようにする
4. データの複雑さの過小評価
データ移行では、不整合や欠落が見つかることがよくあります。終盤まで放置すると、遅延を招きます。
- プロファイリングとクレンジングを早く始める
- 領域ごとにデータスチュワードを割り当てる
5. 急ぎすぎたスケジュール
意欲的な日程に合わせてフェーズを圧縮すると、たいていは裏目に出ます。段階的な納品のほうが、管理しやすくなります。
- フェーズゲートを明確に定める
- 本稼働の日程を、準備状況に合わせる
6. 関係者の賛同の欠如
変化への疲れは現実にあります。エンドユーザーと経営層を早い段階で巻き込まないと、稼働後に抵抗が強まります。
- 関係者とのワークショップを定期的に開く
- トレーニングで、実際の業務シナリオを使う
RISE with SAPのプロジェクトでは、統合に、多くの人が思う以上の注意が必要です。SAPがインフラを管理するからといって、システム間のすべてを担ってくれるわけではありません。何がどこにつながるのか、データがどう流れるのか、どの接点を誰が担うのかは、引き続き自分で計画する必要があります。
RISEではSAP Business Technology Platform(BTP)を利用でき、現在の統合の多くはそこに置かれています。APIやイベント駆動のフロー、構築済みのコネクタに対応しています。しかし、オンプレミスやサードパーティの古いシステムは、今もバッチジョブやファイル転送に頼っているかもしれません。事前の計画がないと、この混在は厄介なことになります。
まず、全体の棚卸しから始めると効果的です。
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現在、ERPには何がつながっているか
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何がリアルタイムでなければならず、何が非同期でよいか
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リンクがハードコードされた従来のツールはあるか
ITと事業部門の両方を、早い段階で巻き込むことも必要です。統合の範囲が片方だけで決められ、後で想定外の事態を招くことがあまりに多いのです。テストも大きな論点です。「以前は動いた」ことが、今も動くことを意味すると思い込まないでください。
要するに、統合はタスクではなく、ワークストリームとして扱ってください。十分な時間と適切な人員を割り当てます。そうしないと、どれほどクリーンなERPのコアでも、期待する価値は生まれません。
システムが本稼働すると、仕事の性質が変わります。もう、設定やテストをする段階ではありません。運用し、調整し、支える段階です。RISE with SAPは、インフラ、システムのアップデート、監視といった技術的な土台を提供します。その部分は任せられます。しかし、日々のオペレーションや判断といった事業のレイヤーは、引き続きチームの手の中にあります。
ここで、物事が滞ることがよくあります。サポートの役割が、明確に割り当てられていないことがあります。変更依頼は、優先順位をつける手段がないまま積み上がり始めます。早く気づくチームもあれば、摩擦が生じるまで気づかないチームもあります。
Signavio、SAP BTP、分析ダッシュボードといったツールはRISEに含まれていますが、それだけで価値を生むわけではありません。誰かが責任を持つ必要があります。
役に立つことがいくつかあります。
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本稼働後の問題を、社内とSAPの双方で誰が担当するかを早く決める
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修正、更新、改善のバックログを持つ
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数か月ごとに、定着状況とフィードバックを見直す
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今後の機能強化を、SAPの製品ロードマップに合わせる
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火消しだけでなく、最適化のための余地もつくる
目標は、プロジェクトが形式上「完了」した後も、改善を続けることです。そのための計画がないと、システムは進化せずに固まってしまいます。そして、ギャップが表れ始めるのは、たいていそのときです。
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明確さの問題でもあります。今、何を動かしているのか、何を変える覚悟があるのか、社内でこの移行を誰が率いるのか。
まず、プロセスの可視化から始めます。SAP Signavioのようなツールは、現在の仕事の進め方だけでなく、どこで滞り、どこで重複しているかも描き出せます。次にLeanIXがあります。アプリケーションランドスケープの全体像を示してくれるので、長年かけて多くの独自ツールを積み上げてきた企業には特に有用です。その一部は、引き継がなくてもよいかもしれません。
始める前に考えておきたいことがいくつかあります。
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現在の業務プロセスのベースライン分析を行う
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アプリ、インターフェース、データフローの一覧をつくる
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すべてのカスタムコードを見直す。重要なものと、そうでないものを分ける
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範囲、例外、承認の意思決定者を特定する
RISE with SAPは自社に合っているか
これは、技術だけの判断ではありません。事業が、時間をかけてどのように運営され、進化したいのかという、方向性の問いです。RISE with SAPは、クラウドでの提供、プロセスの標準化、責任の分担を軸に作られています。その構造にすぐ適応する組織もあれば、立ち止まって見直す必要のある組織もあります。
自問してみてください。
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すべてをゼロから作るのではなく、SAPのベストプラクティスを採用することに抵抗はないか
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社内のIT部門は、変革を率いる立場にあるのか、それともサポートとデリバリーに重きを置いているのか
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基幹のERPで、SaaS型の運用モデルに合わせられるか
これらの問いが身近に感じられるなら、あるいは少し居心地が悪いなら、掘り下げる価値があるというよい兆候です。
ガイド付きのアセスメント、準備状況のワークショップ、RISE認定の専門家との個別相談をご用意しています。どこから始め、何を評価すべきか迷っている場合は、まず対話から始めると、次の一歩が見えてきます。RISEが自社にとって意味を持つかどうか、一緒に確かめましょう。
よくある質問
SAP導入を最初に検討するお客様の多くが、同じ質問のあたりで足踏みします。
ご自身でも、いくつか思い当たるかもしれません。本当はどのくらいかかるのか、費用はどれくらいか、システムが本稼働した後にどんな支援が必要か。もっともな疑問です。
そこで、推測に任せるのではなく、何が待っているのか、そして難しい部分がたいていどこに現れるのかをつかんでいただくために、明快で率直な答えをまとめました。
1. RISE with SAPとは何を意味しますか?
RISE with SAPは、企業がクラウドベースのERPへ移行できるようにするための、SAPのバンドル型の提供形態です。S/4HANA Cloudに、インフラ、ツール、マネージドサービスを組み合わせ、1つの契約にまとめています。
2. 「rising SAP」とは何を意味しますか?
これは技術用語ではありません。主にRISE with SAPを通じた、SAPのクラウド変革への取り組みを指して、くだけた形でよく使われます。
3. S/4HANAとRISE with SAPの違いは何ですか?
S/4HANAはERPの製品です。RISE with SAPは、S/4HANA Cloudにインフラ、サービス、サポートを組み合わせた、商用およびデリバリーのモデルです。
4. RISE with SAPとGROW with SAPの違いは何ですか?
GROWは、規模が小さく急成長する企業向けに設計されており、パブリッククラウドのみに焦点を当てています。RISEは中堅から大企業向けで、プライベートクラウドを含む、より高い柔軟性を提供します。
5. RISE with SAPはSAP HECとどう違いますか?
SAP HECは、マネージドホスティングのソリューションでした。RISE with SAPには、クラウドERP、ツール、サービスが含まれます。より包括的で、クラウドファーストの運用を前提に作られています。
6. SAP S/4HANAと従来のSAP ERPの違いは何ですか?
S/4HANAは、SAP ERPの次世代版です。より高速で、データモデルがシンプルで、リアルタイム分析にも対応します。従来のシステム(ECCなど)は、バッチ処理への依存が大きく、技術的なレイヤーも多くなっています。S/4HANAはFioriのインターフェースも採用しており、これは従来のSAP GUIからの大きな転換です。
7. GROW with SAPとは何ですか?
GROWは、規模の小さい企業向けの、SAPのSaaS型ERPです。事前設定済みで、パブリッククラウドのみ、標準のベストプラクティスに沿って、より速く展開できます。
8. RISE with SAPの契約とは何ですか?
S/4HANA Cloud、インフラ、Signavioなどのツール、SAPが管理するサービスをまとめた、サブスクリプション型の契約で、1つの契約のもとで請求されます。
9. RISE with SAPへはどう移行しますか?
まず、準備状況のアセスメントから始めます。その後、導入パス(グリーンフィールド、ブラウンフィールド、セレクティブ)を選びます。移行には、標準のフレームワークとしてSAP Activateが使われます。
10. RISE with SAPの3つの主要な要素は何ですか?
中核となる要素は次のとおりです。
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S/4HANA Cloud(ERPプラットフォーム)
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SAP Business Technology Platform(拡張と統合のため)
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SAP SignavioとBusiness Network(プロセスインテリジェンスとコラボレーションのため)
SAP導入を楽にするツール
SAP導入コスト計算ツール
このツールは、SAP導入のおおよその費用を把握するのに役立ちます。
SAPリソース向け職務記述書ジェネレーター
SAPプロジェクトの人材を採用する場合に、このツールで職務記述書を作成できます。
データ移行の工数・コスト見積もりツール
このツールで、必要なデータオブジェクトと、データ移行に関連するコストを把握できます。
使いやすいERP導入コスト計算ツール
ERPのコストとスケジュールの見積もりを、手早く確認できます。完璧ではありませんが、費用の全体像をつかむには十分です。
SAPソリューションビルダーとロードマップ作成ツール
このツールは、業種、規模、目標に基づいて、適切なSAPソリューションの範囲と段階的なロードマップを定めるのを助け、適切なモジュールを適切なタイミングで展開できるようにします。
S/4HANA移行アセスメントツール:グリーンフィールドとブラウンフィールド
システムの古さ、データ、カスタムコード、プロセスのニーズに基づいて、適切な移行パス(グリーンフィールド、ブラウンフィールド、セレクティブ)をすばやく特定できます。
ERPのコストとスケジュールの見積もりを、手早く確認できます。完璧ではありませんが、費用の全体像をつかむには十分です。