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SAPの交渉アドバイザーは、ライセンス、使用状況、契約条件を精査して、どこで払いすぎていて、どこにリスクがあるのかを見つけ出し、その証拠をもとに取引の条件を変えます。節約の大半は是正です。誤ったライセンスタイプのユーザー、誰も使わないモジュール、誰もベンチマークしていないインフラ料金、誰も必要としなかったサービスのバンドルです。本ガイドは、SAPの更新、監査、またはRISEやGROWの提案を前にしたCIO、CFO、調達責任者向けです。アドバイザーの独立性を確認する方法、異議を唱えるべき点、RISEとGROWの交渉術、更新までのタイムラインを取り上げます。契約日の6〜9か月前に始め、何よりも先にアドバイザーのインセンティブを確認してください。
ある小売業のクライアントは500のProfessionalライセンスを保有していましたが、使用状況のデータを見ると、200のLimitedライセンスで足りていました。範囲を是正したことで、年間120万ドルを捻出できました。ある製造業のクライアントは、導入するつもりのなかったMESバンドルに、あやうく料金を払うところでしたが、初年度の支出を45万ドル減らしました。あるGROWのクライアントは、使われていないバンドルの構成要素を外して、年間28万ドル以上を削減しました。
どれも特別な取引ではありませんでした。本来あのままの形で署名されるべきではなかった契約の是正です。
SAPの契約には、大半の法務チームが気づかず、大半のシステムインテグレーターには指摘する動機がないコストが含まれています。インテグレーターは導入の工数で稼ぎます。SAPのアカウントエグゼクティブは契約金額で稼ぎます。どちらも、あなたの支払いを減らす手伝いをしても得をしません。
SAPの契約について誰かから助言を受ける前に、次の3点を確認してください。
- SAPパートナーとしての収益や、導入に伴う手数料がない
- SAPのどの製品についても、再販の関係がない
- 報酬が、契約への署名ではなく、あなたの成果に連動している
パートナー関係のあるアドバイザーは、手続きを進める手伝いをしてくれます。独立したアドバイザーは、結果を変える手伝いをしてくれます。ビジネスケースと同じ原則です。導入を売る人が、その導入のためのビジネスケースを書くべきではありません。
この表は、コストがたいていどこに潜んでいるか、そしてどう対処するかを示しています。
| コストの要因 | 潜んでいる場所 | 対処法 |
|---|---|---|
| ユーザータイプの割り当て誤り | システム上の操作ではなく、職位でProfessionalライセンスが付与されている | 分類レポートを実行し、トランザクションをライセンスタイプに対応づける |
| BOM内の使われていない製品(シェルフウェア) | 使用がゼロまたはゼロに近いライセンス済みモジュール | 使用状況を監査し、更新時に削除または延期する |
| デジタルアクセス | SAPの伝票を作成する外部システム | 連携を洗い出し、契約で伝票件数を合意する |
| 価格の上昇 | 上限のない、更新時の値上げ | 年間の上昇率に上限を設けるか、契約期間中の料金を固定する |
| 失効するバンドルサービス | 導入工数、BTPクレジット、トレーニング予算 | 署名の時点で、利用の予定を決める |
| インフラ料金(RISE) | 市場の料金と比較されていないホスティング費用 | 同等のクラウドワークロードと比較してベンチマークする |
| 過剰にバンドルされたサポート | 一度も使わないサービスまでカバーするプレミアムのティア | インシデントの履歴と照らして、明細行ごとに見直す |
| 使われていないオンプレミスのライセンス | 使うのをやめたモジュールにも払い続けるフルメンテナンス | SAPの2026年の確約を使い、対象となる場合は分割または解約する |
最後の行は新しいものです。2026年7月10日以降、欧州委員会に対するSAPのメンテナンスの確約により、オンプレミスの顧客は、ランドスケープの分割、インストールごとのサポートの選択ができ、定められた場合には、再ディスカウントなしで使われていないライセンスを解約できます。詳細は、私のSAPライセンス交渉のガイドで解説しています。
BOM(Bill of Materials)は、ライセンスされたすべてのモジュールとサービスを一覧にしたものです。大半の組織は、当初の営業プロセスから引き継いだまま、一度も異議を唱えません。
すべての明細行に異議を唱える。 各モジュールを実際に使っているユーザーの割合はどれくらいか、それがなくなったら業務に何が起きるかを尋ねます。驚くほど多くの行が、この問いのあとにも「本当に必要かどうか、実はよく分からない」という答えのまま残ります。私が支援したある製造業の企業は、機能面のすり合わせのセッションのあと、何を残すかを実際の使用パターンで決めて、モジュールの15%を外しました。
バンドルの罠に注意する。 バンドルは単価を下げますが、2、3年は使わない構成要素が含まれていると、総支出を押し上げます。GROWのパッケージには、最初の導入には入っていないアナリティクスツールやライン・オブ・ビジネスのアプリケーションが含まれていることがよくあります。
更新の前に連携を洗い出す。 SAPの伝票を作成するシステムは、CRM、MES、モバイルアプリ、ミドルウェアのどれであっても、デジタルアクセスとして数えられる可能性があります。SAPが、皆さんの連携を一覧にしてくれることはありません。まず自分たちで洗い出してください。
柔軟なスケーリングを交渉する。 立ち上げ期間中に最低ユーザー数が固定されているのは、よくある罠です。初年度のビジネスケースの予測ではなく、実際の人数に連動した料金を求めてください。
RISE with SAP
- コストの積み上げを分解する。 RISEは、ソフトウェア、インフラ、技術運用、一部のサービスを、Full Use Equivalents(FUE)で価格設定された1つのサブスクリプションにまとめています。SAPは1つの数字を提示してきますので、内訳を出してもらってください。最も異議を唱える価値があるのは、インフラです。私が支援したあるクライアントは、インフラ料金に異議を唱え、実際のクラウド使用量に合わせるだけで、コストを22%削減しました。私たちは、そのクライアントの取引を同じ業界のほかの取引と比較し、強く押し返しました。
- クリーンコアへのコミットメントを交渉材料にする。 SAPは、顧客にクリーンコアを求めています。カスタマイズを最小限にするとコミットすれば、導入のスコープ、BTPの消費量の見積もり、サポートのティアについて、説得力のある立場に立てます。プライベートクラウドでは、クリーンコアは契約上のルールではなく、SAPが奨励する選択です。だからこそ、皆さんのコミットメントに価値があります。
- 値上げを、暦ではなく利用に連動させる。 SAPは通常、導入の進み具合にかかわらず、契約年度ごとに価格の段階的な引き上げを組み込みます。アクティブユーザー、FUEの消費量、完了した展開に連動したトリガーを交渉してください。展開が遅れても、価格が予定どおりに上がるべきではありません。
- デジタルアクセスを定義する。 RISEでも、デジタルアクセスのリスクはなくなりません。対象となる連携のシナリオ、量、測定方法を明記してください。「追って決定」とする条項は、監査リスクを生みます。
- 退出と縮小の条件を組み込む。 データ返却の形式、解約後のアクセス料金、BTPテナントの設定がどうなるかを、署名の前に合意してください。
GROW with SAP
- パッケージのスコープを分解する。 GROWのパッケージは、標準プロセス向けにあらかじめ設定されています。導入の対象外のモジュールは、導入の価値を高めずに、契約金額を押し上げます。前述のGROWのクライアントは、実際の利用シナリオをまず洗い出したうえで、年間28万ドル以上を削減しました。
- 逸脱を統制する。 GROWはパブリッククラウド上で動き、コア内のカスタムコードは書けず、拡張はSAP BTP経由で行います。何を逸脱とみなすのか、誰が承認するのか、拡張作業をどう価格設定するのかを定義してください。
- データの所在地を確定する。 GROWは、ハイパースケーラーのインフラ上でマルチテナントで動きます。データを置くリージョンを指定し、国境をまたぐ経路を制限し、バックアップのガバナンスを定義してください。標準の条件では、皆さんの要件をカバーできない場合があります。
- 署名の前に、更新時の価格に上限を設ける。 複数年の価格を固定しない限り、年間5〜7%の値上げはよくあることです。値上げに関する条項が弱かったために、4年でクラウド料金が倍になったクライアントがありました。更新の際に、実際の使用量に連動した上限付きの引き上げに改めて、これを是正しました。
- BOMをてことして使う。 契約期間中の導入ロードマップの外にある行は、すべて交渉の対象です。外してください。値引きでSAPが抵抗してきたときは、その行を残すことを譲歩として差し出せます。
ある製造業のクライアントは、必要のないサービスレベルがバンドルされた3年契約に縛られていました。誰も気づかないうちに、40万ドルが消えました。完全に避けられたことです。
どのサービス契約にも、次の4点を入れてください。
- スキルの交代の承認。 ベンダーは、本稼働のあとに、シニアの人材を外します。主要なチームメンバーを交代させる前に、自社の承認を必須にしてください。
- 縮小の権利。 本稼働が遅れたり、展開を段階的に行ったりする場合に、ペナルティなしで契約工数を減らせる必要があります。
- 成果物としてのナレッジトランスファー。 トレーニングは、ナレッジトランスファーではありません。運用手順書、シャドーイングの期間、自社のチームリードによる承認を定義してください。
- 結果を伴うパフォーマンス条件。 応答時間だけでは、ほとんど意味がありません。解決時間を定義し、サービスクレジットを付けてください。
SAPの最初の提示が、最善の提示であることはありません。節約は、何に異議を唱えるべきかを知ることから生まれます。BOMの明細行、インフラ料金、間接アクセスの範囲、ユーザータイプの割り当てです。
価格モデルごとに、固有の罠があります。
| 価格モデル | よくある罠 | 交渉の進め方 |
|---|---|---|
| 永久ライセンス(オンプレミス) | 使われていないライセンスへのメンテナンス料。インフレに連動して上がる料金 | 毎年、使用状況を監査する。対象となる場合は、使われていないモジュールを削除または解約する |
| サブスクリプション(RISE、GROW) | 初年度のディスカウントが薄れる。過剰に確保されたFUE。上限のない増加 | 複数年の料金を固定する。スケーリングの条件を定義する。契約期間中のFUEの増加をモデル化する |
| ハイブリッド(永久ライセンスとサブスクリプションの併用) | 移行期間中、重複する機能に二重で支払う | BOMをフェーズごとに整理する。重複期間のブリッジ価格を交渉する |
| 従量課金(BTP) | 予測が難しい。急増すると予算を直撃する | 月次のアラートと上限を設定する。毎月、消費量を見直す |
| ライン・オブ・ビジネスのクラウド(HR、調達、アナリティクス) | コアですでにライセンスされている機能との重複 | まず、重複の分析を含む総コストの全体像を求める |
SAPは、どの顧客にも、自社の価格は標準だと伝えます。そうではありません。同じ業界で、人数も同じ2つの企業が、同じライセンスに対して、実質的に異なる金額を支払っていることがあります。
私が支援したあるクライアントは、SAPとの取引は公正だと考えていましたが、ベンチマークのレポートを取り寄せるまでのことでした。同様の企業より30%多く払っていたのです。私たちはそのデータを手にSAPに戻って再交渉し、クライアントははるかに良い条件を得ました。
ベンチマークは、「これが当社の標準価格です」という主張を封じます。結果を保証するものではありませんが、会話を変えます。
- 9か月前: 使用状況、分類、連携のデータを取得し、BOMの見直しを始める
- 7か月前: ベンチマークを依頼する。SAPの2026年のメンテナンスの確約で対象になるかを確認する
- 6か月前: 目標とする立場と、交渉を打ち切る条件を社内で合意し、CFOに説明する
- 4〜5か月前: 意見ではなく証拠を携えて、SAPとの話し合いを始める
- 3か月前: 条件(上限、スケーリング、デジタルアクセス、退出、サービス)を交渉する
- 署名の前: 最終的な注文書を、合意したすべての内容と照らして、明細行ごとに見直す
- 9か月前使用状況と連携のデータを取得する分類レポート、BOMの見直し
- 7か月前ベンチマークを依頼する2026年のメンテナンスの確約を確認する
- 6か月前目標と、交渉を打ち切る条件を決めるCFOに説明する
- 4〜5か月前SAPとの協議を始める意見ではなく証拠
- 3か月前条件を交渉する上限、スケーリング、デジタルアクセス、退出。署名の前に明細行を見直す
90日前に始めるのは遅すぎます。証拠を築くには、何か月もかかります。契約全体の見取り図については、私のCFO向けERP契約交渉のガイドをご覧ください。
SAPの交渉アドバイザーは、実際に何をするのですか?
ライセンスの使用状況を分析して、誤って割り当てられたユーザータイプを見つけ、BOMを監査して使われていないモジュールを洗い出します。デジタルアクセスのリスクを把握し、価格を同等の組織と比較してベンチマークし、更新時にも監査でも自社を守る条件を組み立てます。一般的な調達コンサルタントとの違いは、SAP固有の知識です。システムインテグレーターとの違いは、インセンティブです。インテグレーターは工数で稼ぎ、コスト重視のアドバイザーは、請求額が下がったときに報酬を得ます。
企業はなぜ、SAPのライセンスで払いすぎるのですか?
理由は3つあります。Professionalライセンスが、システム上の操作ではなく職位で割り当てられていること。BOMが、事業部門の使用実態ではなく、SAPが売ったものを反映しており、モジュールを外すという問いに誰も責任を持たないこと。そして、大半の組織が、自社のどの連携がデジタルアクセスに当たるのかを把握していないこと。これらは、誰かが確認するまで、更新のたびに積み重なっていきます。
RISE with SAPの交渉で、最も重要なポイントは何ですか?
数字を動かす領域は5つあります。インフラ料金は、市場の料金と比較してベンチマークすべきです。有効期限のあるバンドルのクレジットとサービスは、署名の時点で使う予定を決めるべきです。年間の値上げには、上限を設けるべきです。デジタルアクセスの範囲は、将来の監査に委ねず、定義しておくべきです。そして、データ形式、解約後のアクセス、BTPテナントの移行性を扱う退出条件です。
BOM分析は、SAPの契約コストをどう減らしますか?
ライセンスされたすべての構成要素を、実際の使用状況と導入ロードマップに照らして洗い出します。モジュールごとの利用データを取得し、ユーザーがゼロまたはゼロに近いモジュールに印を付けます。契約期間中に予定されているものと突き合わせ、各行のコストを算出し、交渉の場に修正したBOMを提示します。最も効果が大きいのは、署名の前です。署名の後でも可能ですが、難しくなります。
SAPのサービス契約で、注意すべき危険信号は何ですか?
応答時間だけがあり、解決時間やペナルティがないサービスレベル。オプトアウトできない、プレミアムサービスのバンドル。通知期間が短い自動更新。事前承認なしで、上限のない緊急対応や時間外の料金。主要な人材を交代させる際の承認権がないこと。そして、データ形式、抽出、解約後のアクセスに関する退出条件がないか、あいまいであること。
SAPのライセンス契約は、どのくらいの頻度で見直すべきですか?
少なくとも年に1回、そして更新の前には必ず。年次の見直しでは、ユーザー構成のずれと新しい連携を捉えます。90日分のログインレポートで、その大半が見つかります。更新の見直しは、期限の6〜9か月前に始めてください。人数が大きく変わったとき、主要な連携が追加または廃止されたとき、導入形態が変わったとき、SAPが監査を告知したときは、追加で見直しを行います。
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